はじめに
60〜90秒という長尺の縦型ショート動画広告において、高単価商材や説明が必要な商材を販売するための「PASBECONA(パスベコナ)長尺型」の構成を解説します。PASONAの法則を発展させ、顧客の感情を動かし納得させるための台本の作り方をお伝えします。
この記事でわかること
・PASONAとPASBECONAの違い(BとEの独立)
・60秒と90秒の使い分け、向く商材・向かない商材
・中盤の離脱を防ぐ「途中フック」の入れ方
【この記事の執筆・監修】
Pinmov ディレクター 三上 渉吾
地上波テレビ通販番組で6年間「売れる台本」を作り続けてきたプロフェッショナル。映像の綺麗さではなく、視聴者の行動を引き出しCPA(採用・獲得単価)を確実に下げるためのダイレクトレスポンス構成に特化。
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PASONAとPASBECONAの違い
PASBECONAは、PASONAの法則を現代の購買行動に合わせて拡張したものです。最大の違いは「B(Benefit:ベネフィット)」と「E(Evidence:エビデンス・証拠)」が独立した要素として強調されている点です。
要素 | PASONA(短尺向け) | PASBECONA(長尺向け) |
|---|---|---|
P | Problem(問題提起) | Problem(問題提起) |
A | Affinity(親近感) | Affinity(親近感) |
S | Solution(解決策) | Solution(解決策) |
B | Solutionに内包 | Benefit(ベネフィット)独立 |
E | Offerに内包 | Evidence(証拠)独立 |
C | Offerに内包 | Content(内容・使い方) |
O | Offer(提案) | Offer(提案) |
N | Narrowing down(絞り込み) | Narrow down(絞り込み) |
A | Action(行動喚起) | Action(行動喚起) |
短尺の縦型動画(新PASONA×UGC型の台本など)では、秒数の制約からSの中でベネフィットや内容をまとめてすぐOへ移行します。高単価商材の場合それだけでは「本当に私に効果があるのか?」という疑問が残ります。PASBECONAではB(未来の描写)とE(客観的な証拠)に十分な時間を割くことで、納得感を醸成しやすくなります。
60秒と90秒の使い分けと商材の向き不向き
向く商材:医療、不動産、教育、リフォーム、高単価D2Cコスメ、BtoBツールなど。「なぜその価格なのか」「どういう仕組みで効果が出るのか」を論理的に説明する必要がある商材に適しています。
向かない商材:飲料、お菓子、日用品など、直感的に良さが分かり衝動買いが起きやすい低単価商材。60秒以上の説明はかえって離脱を招きます。
尺の使い分けとしては、比較的シンプルな高単価商材(D2Cコスメなど)は60秒、専門性の高い商材(不動産・医療など)は90秒を基準に構成を組み立てます。
途中フックの入れ方(離脱を防ぐ)
長尺動画で最も警戒すべきは「中盤での離脱」です。PASBECONAの順番通りに淡々と説明を続けると単調になり、S(解決策)やB(ベネフィット)のあたりで視聴者は飽きてしまいます。
これを防ぐため、S(解決策)の直後とE(証拠)の直後に「次のフック」を意図的に置きます。
Sの直後のフック例:「商品を紹介しました。では、実際にどれだけ変わるのか?次の映像を見てください」(Bへの期待を高める)
Eの直後のフック例:「実績はお分かりいただけたと思います。詳しい内容や使い方は後ほど説明するとして、まずは…」(Cへの関心を繋ぐ)
この心理的テクニックは、オープンループ検証型の台本でも詳しく解説しています。
【全文公開】PASBECONA長尺型 60秒の台本
架空のスキンケア美容液「LUMOA(ルモア)」を題材にした60秒の台本です。
時間 | PASBECONA | セリフ・テロップ/映像 | 設計意図 |
|---|---|---|---|
0–5秒 | P:問題提起 | 「高い美容液を使っているのに、夕方には目元が乾燥する…。そんな経験ありませんか?」(画:目元の乾燥を気にする女性のアップ) | ターゲットの深い悩みにピンポイントで訴えかけ、スクロールを止める |
5–10秒 | A:共感 | 「年齢のせいだと諦めないでください。原因は、肌の奥に水分を留める力が弱っているだけなんです。」(画:女性が少し安心した表情) | 原因を本人のせいにせず心理的負担を軽減し、共感を呼ぶ |
10–18秒 | S:解決策+途中フック① | 「そこで開発されたのが『LUMOA』です。では、これを使うと実際にどう変わるのか?」(画:LUMOAのパッケージ登場→使用シーンへ) | 商品を提示した直後に「どう変わるのか?」というフックを入れ、Bへ意識を向ける |
18–26秒 | B:ベネフィット | 「とろみのある一滴がすっと馴染み、翌朝、鏡を見るのが楽しみになるような、もっちりとしたハリ感が続きます。」(画:手の甲でテクスチャーを見せ、女性が笑顔で頬に触れる) | 「保湿成分配合」という機能ではなく「鏡を見るのが楽しみになる」という感情(未来)を描写する |
26–34秒 | E:証拠+途中フック② | 「皮膚科専門医監修のもと開発されました。なぜこれほど支持されるのか、その使い方は…」(画:監修医師のクレジット表示) | 裏取りできる客観的な実績(専門医監修)のみを提示し信頼を獲得する。次のCへフックを繋ぐ |
34–42秒 | C:内容 | 「いつもの化粧水の後に、たった1プッシュ追加するだけ。特別なケアは必要ありません。」(画:実際の使用手順をシンプルに見せる) | 導入のハードルが低いこと(使い方・含まれる内容)を説明する |
42–50秒 | O:提案 | 「通常価格◯◯円のところ、初めての方限定で◯◯円でお試しいただけます。」(テロップ固定:価格・初回条件を大きく表示) | 具体的なオファーを、ミュート再生でも分かるよう画面に固定する |
50–56秒 | N:絞り込み | 「定期縛りは一切なし。いつでもスキップ・解約できます。」(テロップ固定:「スキップOK」「いつでも解約可」) | 購買を躊躇させる最大の要因(定期縛りへの不安)を除去し、行動のハードルを下げる |
56–60秒 | A:行動喚起 | 「この限定キャンペーンは下のボタンから。今すぐチェックしてみてください!」(画:画面下部を指差すアクション) | 迷わせず、1つのCTAに誘導して動画を締める |
※LUMOAは説明用の架空商材です。実際の制作では、定期購入の回数条件・解約条件を必ず明記してください。
やりがちな失敗3つ
1. ベネフィットを機能説明で終わらせる
台本の18〜26秒(B:ベネフィット)の場面で、「独自の◯◯成分が角質層まで浸透し〜」というカタログスペックを語ってしまうパターンです。顧客が買いたいのは成分ではなく「それを使うことで自分がどう変わるか」という未来です。
悪い例:「独自の保湿成分◯◯が角質層に浸透します」
直した例:「翌朝、鏡を見るのが楽しみになるようなハリ感が続きます」
2. エビデンスを裏取りせず創作する
台本の26〜34秒(E:証拠)の場面で、「お客様満足度99%!」「CVR◯%改善!」など、客観的な裏付け(一次情報)がない数値や、自社のアカウント内でしか確認できない数値を使うパターンです。誇大広告と捉えられ、信頼を損ないます。必ず公的に検証可能な実績のみを使用してください。
3. 途中フックを入れず単調になる
PからAまでを一つの流れとして作ってしまい、「次に何が起こるか」という予告がないと、視聴者はO(価格)を聞く前に離脱してしまいます。S直後とE直後の2箇所に必ずフックを入れます。
構成のベースとなる考え方については、通販式ダイレクトレスポンス台本の型もあわせてご覧ください。
まとめ
PASBECONAはPASONAの発展型。BとEを独立させて納得感を作る
60秒は比較的シンプルな高単価商材、90秒は専門性が高い商材に使う
SとEの直後に途中フックを入れて中盤の離脱を防ぐ
ベネフィットは機能ではなく「顧客が得る感情(未来)」で描写する
エビデンスは一次情報で裏取りできるものだけを使う
定期条件・解約条件は画面テロップで必ず明記する
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