はじめに
クリニック・医療機関の採用動画を作ることを検討している方、または作ったが応募につながらなかった方へ。この記事では、クリニック向けの採用動画30秒の台本を全文公開します。架空のクリニック「みなとクリニック」(横浜市・スタッフ20名)を題材に、各秒数で何を映し何を伝えるか、なぜその順番なのかまで解説します。
この記事でわかること
・医療機関の広告表現で避けるべき表現
・30秒台本(全文)と、院長を必ず映す理由
・クリニック採用でやりがちな失敗3つ
【この記事の執筆・監修】
Pinmov ディレクター 三上 渉吾
地上波テレビ通販番組で6年間「売れる台本」を作り続けてきたプロフェッショナル。映像の綺麗さではなく、視聴者の行動を引き出しCPA(採用・獲得単価)を確実に下げるためのダイレクトレスポンス構成に特化。
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先に|医療機関の広告表現における注意点
クリニックの採用動画を制作する前に、表現上の制約を整理しておきます。
医療機関が行う広告は、医療法および医療広告ガイドラインの規制対象になります。採用動画は求人を目的とした広告のため、診療内容・治療効果の断定・他院との比較・最上級表現(「日本一」「最先端」等)は使えません。また「スタッフが笑顔で働いています」のような内容は問題になりませんが、「この病院に来れば治ります」のような治療効果を示唆する表現は採用動画でも避けます。
具体的に避ける表現
「最先端の設備を使った治療ができます」(設備の誇大表現)
「日本でも有数のクリニックです」(最上級・比較表現)
「ここで働けば医療スキルが必ず身につきます」(効果の断定)
使える表現の例
「週に1回、スタッフ全員で勉強会をしています」(事実の説明)
「残業は月◯時間以内を目標にしています」(条件の明示)
「院長が直接フィードバックをくれます」(職場環境の事実)
法的な最終判断は、各クリニック・専門家にご確認ください。 この記事は構成の考え方を扱います。
なぜクリニックの採用に動画が特に効くのか
看護師・医療事務・歯科衛生士・薬剤師などの医療職は、全国的な人手不足が続いています。求職者の側には「残業が多い」「人間関係が複雑」「院長のキャラクターが分からない」という不安が根強くあります。
特にクリニックは病院と異なり、少人数のチームで機能します。「院長との相性」「スタッフ同士の関係」が職場環境の大半を決めるため、求職者はその部分を最も知りたがっています。動画はその「雰囲気」を伝えることができます。
パーソルキャリア株式会社がdoda掲載企業114社で行った実証実験では、動画求人を掲載した場合に求人詳細ページへの遷移率が1.33倍、応募への遷移率が1.30倍になったことが確認されています(出典:パーソルキャリア株式会社 公表データ)。
採用動画全般の構成については 採用動画で応募数が変わる理由|構成の設計で決まること で解説しています。
【全文公開】クリニック向け採用動画30秒の台本
架空のクリニック「みなとクリニック」(横浜市・内科・スタッフ20名)を題材にした台本です。
時間 | 画 | セリフ・テロップ | 設計意図 |
|---|---|---|---|
0–3秒 | 診察室ではなく、スタッフルームでスタッフ2人がお茶を飲んでいる場面。白衣は着ているが業務外の一瞬 | テロップ(大)「クリニックって、院長との関係が全てって聞いて不安じゃないですか?」 | 診察中・医療器具の映像から始めると「クリニックの宣伝」として処理される。求職者が最も気にしている「院長との関係」という不安を先に言い当てる |
3–8秒 | スタッフが正面を向いて話す。手持ちカメラ・スタッフルーム | 「正直、最初は緊張しました。でも、院長は話しかけやすくて。気になることがあればすぐ聞ける雰囲気です」 | 院長との関係への直接の回答。「話しかけやすい」という抽象語を、「気になることをすぐ聞ける」という具体的な状況に置き換える |
8–14秒 | 診察補助・受付対応・患者さんへの説明の3カット。スタッフが落ち着いて対応している様子 | テロップ「週1回、院内勉強会があります」 | 業務の落ち着いた雰囲気を画で伝えながら、スキルアップの仕組みを画面テロップで固定 |
14–20秒 | 院長とスタッフが診察後に短く話している場面。険しい顔ではなく、普通の会話として映す | テロップ「院長が直接、フィードバックをくれます」 | 院長の人柄を画と言葉の両方で伝える。怖くないことを「普通の会話の場面」で示す |
20–26秒 | 条件を画面に固定表示 | テロップ(固定)「残業月◯時間以内・週休2日・資格取得支援あり・交通費全額支給」 | 求職者が応募を判断するための条件を画面テロップで固定。残業時間は医療職にとって特に重要な条件 |
26–30秒 | スタッフが笑顔で話している場面を1カット | テロップ「まずは職場見学から」→「プロフィールから」 | CTAは1つ。「見学」を最初の一歩に設定し、院内の雰囲気を事前に確認できる安心感を伝える |
※みなとクリニックは説明用の架空施設です。実際の制作では、条件・勉強会の内容・残業時間は実態に合わせて記載してください。また医療広告ガイドラインに配慮した表現をご確認ください。
各ブロックの設計意図
0–3秒で診察室から始めない。 医療器具・診察中の場面から始まると「クリニックの集患広告」として処理されます。スタッフルームでお茶を飲んでいる場面は、「ここで働く人の日常」として見てもらいやすくなります。
3–8秒で「院長との関係」を先に答える。 少人数のクリニックでは、院長との相性が職場環境の大半を決めます。求職者が最も知りたがっているのはここです。「話しかけやすい」という言葉だけでなく「気になることがあればすぐ聞ける」という具体的な状況に置き換えることで、実態として伝わります。
8–14秒で「落ち着いた雰囲気」を画で見せる。 忙しそうに走り回っているスタッフの映像は、「ここは大変そう」という印象を与えます。落ち着いて患者に対応している場面を使うことで、職場の雰囲気を実態として伝えます。
14–20秒で院長の場面を使う。 院長が険しい顔で話している場面や、院長が映らない動画では「院長の雰囲気が分からない」という不安は解消されません。普通の会話として院長が映る場面を入れることが、この業種では特に重要です。
20–26秒で残業時間を前面に出す。 医療職の転職理由で多いのが「残業が多すぎる」という問題です。残業時間の目安を条件として前面に出すことで、過去に残業で消耗した求職者層に直接リーチできます。
26–30秒のCTAは「職場見学」。 院内の空気・院長の雰囲気・スタッフの動きを実際に見てもらうことが、医療職の採用では特に応募の後押しになります。
クリニック採用動画でやりがちな失敗3つ
1. 医療設備・最先端機器の紹介から始める
設備の充実をアピールしたい場合でも、採用動画の冒頭に最新機器の映像を置くと「クリニックの宣伝」として処理されます。また、設備の誇大表現は医療広告ガイドライン上の問題になるおそれがあります。
悪い例:最新のレントゲン設備 → 「最先端の環境で働けます!」
直した例:スタッフルームでお茶を飲んでいる場面 → 院長との関係を語る一言
2. 「患者さんのために働けるやりがい」だけで終わる
患者に貢献できる仕事であることは、医療職の求職者は最初から知っています。知りたいのは「この職場で自分が続けていけるか」という条件と人間関係です。やりがいは伝えつつ、残業時間・院長との関係・スキルアップの仕組みを具体的に答えます。
3. 院長が映らない
少人数のクリニックで最大の採用課題は「院長との相性」です。院長が動画に一切登場しないと、求職者の最大の不安が解消されないまま動画が終わります。普通の会話として院長が映る場面を1カット以上入れます。
ブライダル・フォトスタジオ向けの台本は 【全文公開】採用動画30秒の台本|ブライダル・フォトスタジオ向けの構成 で、学習塾・スクール向けは 【全文公開】採用動画30秒の台本|学習塾・スクール向けの構成 で公開しています。
まとめ
冒頭は医療設備ではなく「院長との関係への不安を言い当てる」から始める
院長の場面を必ず1カット入れ、「話しかけやすい」を具体的な状況で示す
落ち着いて対応しているスタッフの場面で「忙しすぎる」不安に答える
残業時間を条件として前面に出す
医療広告ガイドラインに配慮し、効果の断定・最上級表現を避ける
CTAは「職場見学」1つに絞る
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