はじめに
倉庫や物流センターの採用動画を作ることを検討している方、または作ったが応募につながらなかった方へ。この記事では、倉庫・軽作業向けの採用動画30秒の台本を全文公開します。架空の物流会社「サンライズ物流センター」(埼玉県・スタッフ40名・日用品の保管と出荷)を題材に、各秒数で何を映し何を伝えるか、なぜその順番なのかまで解説します。
この記事で分かること
・倉庫・軽作業の採用で動画が特に効く理由
・30秒台本(全文)と、「かんたん軽作業」への不信に答える構成
・倉庫の全景から始めてはいけない理由
【この記事の執筆・監修】
Pinmov ディレクター 三上 渉吾
地上波テレビ通販番組で6年間「売れる台本」を作り続けてきたプロフェッショナル。映像の綺麗さではなく、視聴者の行動を引き出しCPA(採用・獲得単価)を確実に下げるためのダイレクトレスポンス構成に特化。
なぜ倉庫・軽作業の採用に動画が特に効くのか
倉庫の求人は、どこも同じ言葉で書かれています。かんたん軽作業、未経験歓迎、シンプルな仕事。
しかし実際の仕事は、扱う物によってまるで別物です。文庫本のピッキングと、飲料ケースの積み下ろしでは、一日の終わりの疲労がまったく違います。それが「軽作業」の一言にまとめられている。
応募者はこれを知っています。「軽作業と書いてあったのに、行ってみたら重かった」という経験が、業界全体への不信になっています。だから求人票に何を書いても、まず疑われます。
さらに倉庫特有の事情として、環境の差が非常に大きい職種でもあります。冷凍倉庫か常温か。冷暖房があるか。立ちっぱなしか、座り作業も含むか。夏と冬で条件が変わる仕事なのに、求人票からは何も読み取れません。
つまり倉庫の採用では、言葉が機能していません。信じてもらえない言葉を並べるより、実物を3秒映すほうが早い。ここが動画の効く理由です。
パーソルキャリア株式会社がdoda掲載企業114社で行った実証実験では、動画求人を掲載した場合に求人詳細ページへの遷移率が1.33倍、応募への遷移率が1.30倍になったことが確認されています(出典:パーソルキャリア株式会社 公表データ)。
倉庫・軽作業に特化した採用動画の設計については 倉庫・軽作業の採用動画設計|「かんたん軽作業」が信じられない理由 で詳しく解説しています。
【全文公開】倉庫・軽作業向け採用動画30秒の台本
架空の物流会社「サンライズ物流センター」(埼玉県・スタッフ40名・日用品の保管と出荷)を題材にした台本です。
時間 | 画 | セリフ・テロップ | 設計意図 |
|---|---|---|---|
0–3秒 | 実際に扱う箱を持つ手元のアップ。倉庫の全景は映さない | テロップ(大)「1箱2kg前後です」 | 最大の不信に、数字と実物で答える。全景から始めると「会社の宣伝」になる |
3–8秒 | 台車に箱を積んで運ぶ一連。歩く距離が分かる画角 | テロップ「運搬は全て台車。持ち上げるのは棚の上下だけ」 | 3秒の主張を映像で証明する。言葉だけでは信じられない |
8–14秒 | 作業エリアを歩いて回る。空調の吹き出し口も映す | テロップ「常温倉庫/空調あり/室温は年間20℃前後」 | 環境の不安に答える。夏と冬の条件は応募の判断材料になる |
14–20秒 | ピッキングから梱包までの一連。作業台に座っている場面も入れる | テロップ「立ち作業と座り作業は交代制」 | 一日の中身と、体への負担を同時に見せる |
20–26秒 | 休憩室でスタッフが話している自然な場面 | テロップ(固定)「時給1,300円・週3日〜・服装自由」 | 人間関係の空気を見せながら、条件を画面に固定する |
26–30秒 | 倉庫の入口、または作業エリアの一角 | テロップ「まずは職場見学から」→「プロフィールから」 | CTAは1つ。「応募」より「見学」のほうが決断が小さい |
※サンライズ物流センターは説明用の架空の会社です。実際の制作では、重量・空調の有無・作業の内容は実態に合わせて記載してください。
同じく体力面の不安が応募を止める職種の台本は 運送会社の採用動画台本|応募につながる構成を秒数ごとに解説 で公開しています。
各ブロックの設計意図
0–3秒で重量を数字で出す。 倉庫の採用動画で、扱う物の重さを最初に出しているものはまず見かけません。しかしこれが、応募するかどうかを決める最大の情報です。「かんたん軽作業」という言葉は業界全体で信用を失っているので、実物を持つ手元と数字を出すことでしか信じてもらえません。
3–8秒で運搬方法を証明する。 「1箱2kg」と言われても、それを一日何百回運ぶなら話は別です。台車で運ぶ映像を続けて出すことで、実際の負担が伝わります。手持ちで運ぶ工程がある場合は、隠さずに見せてください。入ってから発覚するほうが確実に辞められます。
8–14秒で空調と室温を出す。 倉庫で働いた経験がある人にとって、夏の室温は切実な問題です。空調があるかどうか、室温が何度くらいかを出せる会社は多くありません。出せるなら、それだけで他社と差がつきます。冷凍・冷蔵倉庫の場合も、正直に出したほうが適性のある人だけが応募します。
14–20秒で立ち作業と座り作業の割合を示す。 「立ちっぱなしがきつい」という不安には、交代制やバックヤード業務の有無で答えられます。座って作業している場面が1カット入っているだけで、印象が変わります。
20–26秒で休憩室を映す。 倉庫は黙々と作業する職種というイメージがありますが、実際には人間関係で辞める人もいます。休憩室の様子を見せることで、一人作業なのかチーム作業なのか、年齢層はどうかが伝わります。条件のテロップはこの場面に重ねます。
26–30秒のCTAは「職場見学」。 倉庫の求職者は、環境を自分の目で確かめたい人が多い職種です。「応募」よりハードルが低く、会社側も対応しやすい一歩です。
倉庫の採用動画でやりがちな失敗3つ
1. 倉庫の全景・空撮から始まる
設備の規模を見せたい意図は自然ですが、この構図はどの物流会社の動画にも入っています。冒頭3秒を他社と同じ画に使うのは最大の損失です。しかも求職者は倉庫の広さを見に来ているわけではありません。自分がそこで何を持つのかを知りたいのです。
悪い例(サンライズ物流センター):倉庫の外観 → 天井の高いラック → 「一緒に働きませんか」
直した例:箱を持つ手元と重量テロップ → 台車での運搬 → 空調と室温
2. 「かんたん軽作業」を繰り返す
求人票に書いてあり、動画のナレーションでも言い、テロップでも出す。言えば言うほど疑われます。この言葉は、聞き手の中で既に「あてにならない表現」として処理されています。
悪い例:「誰でもできる、かんたんな軽作業です」
直した例:「1箱2kg前後。運搬は全て台車です」
3. 作業している人の顔も年齢層も映さない
商品や荷主情報への配慮から、人をほとんど映さない動画になることがあります。しかし求職者は、自分と同世代がいるかどうかを気にしています。人が映っていない動画は、働く姿を想像させられません。顔を出せない場合でも、手元・後ろ姿・休憩室の様子で年齢層は伝わります。
撮影時に必ず決めておくこと
倉庫での撮影は、稼働への影響と荷主情報の管理が最優先です。撮影前に以下を決めてください。
荷主様への確認が必要な範囲
商品名・配送先ラベル・伝票が映らない画角
撮影可能な時間帯(出荷のピークを外す)
スタッフの顔出しの可否
立ち入り禁止エリアと、映してはいけない設備
特に配送先ラベルと伝票は要注意です。撮影時には気づかず、編集で発見して撮り直しになるケースがあります。事前に画角を決めておけば、作業を止めずに撮影できます。
動画を作ったのに応募が来ない場合は 採用動画の構成を直す5つのチェックポイント|冒頭・テロップ・CTAの設計 もあわせてご覧ください。
まとめ
冒頭は倉庫の全景ではなく「箱を持つ手元と重量の数字」から始める
運搬方法を映像で証明し、「かんたん」の中身を具体化する
空調の有無と室温を出す。夏冬の条件は判断材料になる
立ち作業と座り作業の割合を示す
休憩室の様子で、年齢層と人間関係を伝える
CTAは「職場見学」1つに絞る
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三上 渉吾
Pinmov / 構成設計担当ディレクター
地上波の通販番組の制作に6年。100本以上の現場で、視聴者が動く構成と動かない構成の差を見てきました。
現在はPinmovで採用動画の構成設計を担当。全カットに設計意図を書いた台本を納品しています。
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