採用動画と求人広告、どちらに予算を回すか|1人採用あたりの単価で比べる
費用・料金
はじめに
「採用動画を作るか、その分を求人広告に積むか」という相談を受けることがあります。
この2つは、同じ採用予算を取り合う関係にあります。ただし性質が違います。求人広告は払い続けないと止まる費用で、採用動画は一度作れば残る資産です。だから単純な金額の比較では判断できません。
この記事では、両者を「1人採用あたりいくらかかるか」に揃えて比べます。そのうえで、どちらに回すべきかが分かれる条件を整理します。
この記事でわかること
求人広告の費用が1人採用あたりいくらになるか(業種別のクリック単価から逆算)
採用動画の制作費の実際の分布(企業500社の調査データ)
動画が効く条件と、広告に回した方がいい条件
両方やる場合の予算の配分順
【この記事の執筆・監修】
Pinmov ディレクター 三上 渉吾
地上波テレビ通販番組の制作に6年間携わる。専門は、応募や購入につなげる動画の構成。現在はPinmovで、採用動画・広告動画・企業YouTubeの企画と構成を担当。
※テレビ通販の技術で視聴者の行動(CV)を引き出すPinmovのサービス詳細・事例資料は、お問い合わせフォームの内容欄に「資料希望」とご記入いただければお送りします。

求人広告は1人採用あたりいくらかかるのか
求人広告の費用は、掲載料ではなく1人採用あたりの金額に直さないと比較できません。
クリック課金型のIndeedを例にします。クリック単価は業種によって大きく違います。公開されている参考値では、建設が1クリックあたり300〜800円、介護・福祉が300〜700円、医療が250〜750円、飲食が200〜600円、製造が200〜850円、運送が150〜500円、教育が100〜500円です。職種で見ると、施工管理が300〜1,000円、介護士が300〜600円、ドライバーが150〜500円、事務が100〜300円となっています。
ここから1人採用あたりを逆算します。クリックした人のうち応募に至るのが1%、応募者のうち採用に至るのが20%とすると、1人採用するには応募5件、クリック500回が必要です。建設のクリック単価の中間値550円で計算すると、1人採用あたり約27万5千円です。介護・福祉の中間値500円なら約25万円です。
Indeedの公式シミュレータでも近い水準が出ます。2026年7月時点の出力では、製造で1名採用の想定総額が23万円(東京は28万円)、飲食が26万円、医療関連が27万円、運送が32万円でした。
重要なのは、この金額が「1人採用するごとに毎回かかる」点です。3人採用するなら3倍になります。そして掲載を止めれば流入はゼロに戻ります。
採用動画の制作費は実際にいくらか
動画を使っている企業の人事500人に聞いた2026年の調査では、1本あたりの制作予算の分布はこうなっています。
10万円以上30万円未満が25.0%で最も多く、次が30万円以上50万円未満の19.4%です。5万円以上10万円未満が17.4%、5万円未満が13.6%、50万円以上100万円未満が13.0%と続きます。100万円以上は合わせて11.6%です。
つまり半数以上の企業が、1本あたり30万円未満で作っています。これは先に計算した「建設で1人採用あたり27万5千円」とほぼ同じ金額です。
違うのは、動画は1本作れば翌年も使えるという点です。採用サイト、求人媒体の企業ページ、SNS、説明会で同じ素材が使えます。求人広告のように、同じ金額を毎回払う構造ではありません。
費用の内訳と、どこで金額が増えるのかについては採用動画はいくらかかる?制作費用の相場と内訳を全公開で詳しく書いています。
動画が効く条件
2026年5月に実施された求職者調査(20〜40代、採用動画を観たことがある転職活動経験者333人)に、判断の材料になる数字があります。
まず、採用動画がない企業に対して約95%が何らかのネガティブな印象を持つという結果が出ています。年代別では20代で97%、30代で95%、40代で89%です。「特に気にしない」と答えたのは4.8%でした。
さらに、条件が同等の2社で迷ったとき、動画の有無や質が最終的な選択に影響すると答えたのが87.7%です。「大きく影響する」が29.1%、「ある程度影響する」が58.6%の合計です。
そして視聴のタイミングを複数回答で聞くと、最も多いのが「複数社を比較検討している段階」の61.0%でした。応募を決める段階が36.9%、情報収集の段階が34.2%、応募後・選考中が29.7%です。
この数字から読めるのは、動画が効くのは「比較されている局面」だということです。求職者がすでに自社を候補に入れていて、他社と並べて見ている。そこで動画があるかどうかが働きます。
逆に言えば、候補に入る前の段階、つまり求職者が自社を知らない段階では、動画は機能しません。知られるための露出は求人広告の役割です。
広告に回した方がいいケース
次のいずれかに当てはまるなら、動画より先に広告に予算を回した方がいいと考えています。
応募がゼロに近い場合。 母集団がないと動画の効果が測れません。まず応募が1件でも入る状態を作る必要があります。クリック課金型の広告は、少額から出して反応を見られます。
採用が今月必要な場合。 動画の制作には企画から納品まで一定の期間が必要です。来月までに1人入れたいという状況では間に合いません。
募集職種が1つで、採用予定が年1人の場合。 動画の費用は何回使えるかで割って考えます。年1人なら、広告の1人分と同額です。資産として残る分だけ有利ではありますが、差は小さくなります。
動画に回した方がいいケース
応募は来るが辞退や早期離職が多い場合。 入る前に実際を見せられていないのが原因である可能性があります。先の調査では、動画を観て入社意欲が上がったと答えた人が78.1%いて、その理由の上位は企業への親近感36.5%、社員の人柄が分かった34.2%、入社後のイメージが持てた32.3%、職場の雰囲気が分かった31.2%でした。いずれも文章の求人票では伝わりにくい項目です。
応募は来るのに決まらないという状態の原因については応募が来ない採用動画に共通する5つの原因|企画・ターゲット設計から見直すでも扱っています。
同じ職種を継続して募集している場合。 1本を1年使えば、1人あたりの負担は人数で割られます。年3人採用するなら、30万円の動画は1人あたり10万円です。広告の25万円と比べて差が出ます。
求人票で差がつかない職種の場合。 介護、建設、運送、飲食のように、給与と休日の条件が近い企業が並ぶ職種では、求人票の文面で差をつけるのが難しくなります。介護職の有効求人倍率は令和6年平均で4.08倍(全産業1.14倍)です。1人の求職者に4件以上の求人が並ぶ状態では、条件以外の情報がないと選ばれません。
両方やる場合の順番
予算に余裕がある場合でも、同時に始めることは勧めていません。順番があります。
先に動画を作り、その後に広告を出します。 理由は、広告の着地点に動画がある状態を作るためです。クリック課金型の広告は、クリックされた時点で費用が発生します。着地したページに動画がなければ、そのクリック代は求人票を読ませるだけに使われます。動画があれば、同じクリック代でより多くの情報を渡せます。
広告の掲載先と動画の置き場所の組み合わせについては採用動画の掲載先の選び方|自社サイト・求人媒体・SNSの使い分けで整理しています。
よくあるご質問
動画を作れば広告をやめられますか
やめられません。動画は候補に入った後で効くもので、候補に入る前の露出は広告が担います。両方必要です。ただし、動画がある状態で広告を出すと、同じクリック代から渡せる情報量が増えます。
何本あればいいですか
職種ごとに1本が最低ラインです。介護で介護職と看護職を募集しているなら、同じ動画では両方に届きません。求職者が知りたいことが職種で違うためです。
今ある動画を使い回せますか
内容によります。会社紹介として作られた動画は、採用の判断材料としては情報が足りないことが多いです。先の調査で求職者が最も見たいと答えたのは仕事内容とやりがい28.2%、1日の流れ27.6%、職場の雰囲気27.0%、求める人物像27.0%でした。これらが入っていなければ、撮り直すより構成から見直す方が早い場合があります。
まとめ
求人広告は1人採用あたり15万〜32万円程度かかり、採用するたびに毎回発生します。採用動画は半数以上の企業が1本30万円未満で作っていて、一度作れば複数回使えます。
分かれ目は、応募がゼロに近いかどうかです。母集団がない状態では広告が先です。応募は来るのに決まらない、または同じ職種を継続して募集している場合は、動画に回した方が1人あたりの単価が下がります。
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出典
採用動画のトレンド調査2026(株式会社moovy、2026年5月22日〜29日、20〜40代の転職活動経験者で採用動画視聴者333人、インターネット調査)
【2026版】採用動画の活用に関する実態調査(アルファノート株式会社、2026年6月24日〜25日、採用に動画を活用している企業の人事担当者500人、インターネット調査)
Indeedの掲載料金に関する参考値(株式会社スリーカウント、2026年、自社の運用実績に基づく参考レンジおよびIndeed公式予算シミュレータの2026年7月28日時点の出力)
令和6年度 介護労働実態調査(公益財団法人 介護労働安定センター、2025年7月公表)

三上 渉吾
Pinmov / ディレクター
地上波テレビ通販番組の制作に6年間携わる。専門は、応募や購入につなげる動画の構成。
現在はPinmovで、採用動画・広告動画・企業YouTubeの企画と構成を担当。
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