企業YouTubeの企画の立て方|売り込まずに問い合わせにつなげる構成
企業YouTube
はじめに
企業YouTubeを続けているのに、問い合わせが来ない。再生はされているのに、営業の数字が動かない。この状態は、動画の出来よりも、企画と構成の順番に原因があることが多いです。
この記事では、見る人の役に立つ内容を中心にしながら、売り込まずに問い合わせにつなげる企画の立て方を解説します。地上波テレビ通販番組の制作現場で使われてきた「見た人に行動してもらう順番」を、企業YouTube向けに置き換えて紹介します。
この記事でわかること
・企業YouTubeで問い合わせが来ない理由
・問い合わせにつながる企画の立て方(5つの手順)
・1本の動画の中の順番と、最後の一言の置き方
【この記事の執筆・監修】
Pinmov ディレクター 三上 渉吾
地上波テレビ通販番組の制作に6年間携わる。専門は、応募や購入につなげる動画の構成。現在はPinmovで、採用動画・広告動画・企業YouTubeの企画と構成を担当。
企業YouTubeで問い合わせが来ない理由
企業がYouTubeで目標にしているのは再生数だけではありませんが、企画は再生数を基準に作られがちです。
株式会社グローバルプロデュースの調査(2023年2月、企業のYouTube運用担当者110名)では、目標にしている数字(KPI)として「視聴回数」が48.2%、「問い合わせ数」が40.0%挙がっています。4割の企業が、問い合わせを目標にしています。
一方で、株式会社アカシアの調査(2026年2月、303名)では、YouTubeから撤退した企業の理由で最も多かったのが「営業成果につながらなかった」(41.1%)でした。
出典:株式会社グローバルプロデュース「企業のYouTube動画制作における実態調査」(2023年2月)、株式会社アカシア「YouTube運用の撤退・失敗に関する実態調査」(2026年2月)
問い合わせが来ない動画には、だいたい次のどれかが当てはまります。
・見る人の悩みではなく、会社が伝えたいことから企画している
・1本の中で、伝えたいことを2つ以上入れている
・見終わったあとに何をすればいいかが、動画のどこにも出てこない
逆に、商品やサービスの説明ばかりの動画は、見られにくくなります。見る人は宣伝を見るためにYouTubeを開いているわけではないからです。
問い合わせにつながる企画の立て方
手順1. 問い合わせてくる人の「よくある質問」を集める
企画の材料は、社内の営業や窓口にすでにあります。
商談や問い合わせで、お客さんが毎回のように聞いてくること。契約の前に迷っていたこと。ここを集めると、そのまま企画の一覧になります。
自社のサービスを検討している人が知りたいことに答える動画は、見た人がそのまま問い合わせる候補になります。再生数が大きく伸びなくても、見ているのはサービスを検討している人です。
手順2. 1本で答える質問は1つに絞る
テレビ通販の番組では、1つの商品で押すポイントを1つに絞ります。いくつも入れると、どれも見た人の記憶に残らないからです。
企業YouTubeも同じです。「〇〇の選び方」と「〇〇の費用」と「〇〇の失敗例」を1本に詰めるより、3本に分けたほうが、それぞれ最後まで見られます。1本に1つと決めておけば、企画の数も自然に増えます。
手順3. 冒頭は、見る人の損得に直結する話から入る
冒頭で「これは自分のことだ」と思われなければ、続きは見られません。
冒頭に豆知識やクイズを置く動画がありますが、問い合わせにつなげたいなら避けたほうがいい入り方です。入り口に置くのは、見る人の損得に直結する話か、見る人が当たり前だと思っていることを否定する事実です。
冒頭の例 | 使うか |
|---|---|
「〇〇って知っていますか?」という豆知識 | 使わない |
「その見積もり、〇〇が入っていないと後で〇万円かかります」 | 使う(損得に直結) |
「〇〇は〇〇したほうがいい、は実は逆です」 | 使う(常識を否定する事実) |
手順4. 説明だけで組まず、当事者の一言を入れる
Pinmovでは、説明を並べるだけの構成にはしません。軸にするのは、現場の担当者の本音や、お客さんがつまずいた場面など、その会社の人しか言えない一言です。事実やデータは、その一言のあとに乗せます。
あわせて、話している人の立ち位置を最初に決めておきます。誰が、どこで、誰に向かって話しているのか。社長が新しく入った社員に教える形なのか、担当者がお客さんの質問に答える形なのかで、言葉づかいも構成も変わります。
手順5. 最後に、次の行動を1つだけ置く
見終わった人に取ってほしい行動は、1つに絞ります。資料請求、問い合わせ、関連する動画のどれか1つです。動画の最後の一言、概要欄の1行目、固定コメントの3か所で、同じ行動を案内します。
売り込む必要はありません。「この動画で話した〇〇のチェック表は、概要欄から受け取れます」のように、動画の内容の続きとして置くと、見た人が自然に動けます。
1本の動画の中の順番
テレビ通販の番組は、次の順番で組みます。
見ている人に「自分に必要だ」と思わせる
使っている場面を想像させる
なぜ信用できるかを示す
最後に値段を出す
値段を先に出すと、そのあとの説明がすべて「この金額に見合うか」という目で見られるからです。
企業YouTubeは商品を売り込む番組ではありませんが、この順番の考え方はそのまま使えます。
テレビ通販の順番 | 企業YouTubeでの置き換え |
|---|---|
自分に必要だと思わせる | 冒頭で、見る人の悩みや損得を言い当てる |
使っている場面を想像させる | 実際の事例や、現場の様子で答えを見せる |
なぜ信用できるかを示す | 担当者の経験、数字、お客さんの声を出す |
最後に値段を出す | 最後に、自社のサービスへ一言だけつなぐ |
自社のサービスの話は、最後の一言だけで十分です。前半で悩みに答えていれば、「この会社に頼めるのか」は見た人のほうが考えます。
業種ごとの企画の例
手順1〜5を当てはめると、企画は次のような形になります。どれも、その業種のお客さんがよく聞く質問から作った例です。
業種 | お客さんがよく聞く質問 | 企画のタイトル例 | 最後に置く行動 |
|---|---|---|---|
工務店 | 見積もりの金額が会社ごとに違うのはなぜ? | 同じ間取りで見積もりが200万円違う理由 | 見積もりのチェック表を受け取る |
税理士事務所 | 自分で確定申告するのと、頼むのとで何が違う? | 確定申告を自分でやって損しやすい3つの場面 | 相談の予約をする |
法人向けのソフト会社 | 今のExcel管理から移すのは大変? | Excel管理から移すときに一番止まる作業 | 導入事例の資料を受け取る |
人材紹介会社 | 転職の相談はいつからすればいい? | 転職の相談は「辞める前」と「辞めた後」で何が変わるか | 面談を予約する |
タイトルには、見る人が普段使う言葉を使います。会社の中で使っている専門用語は、見る人が検索する言葉と違うことがあるからです。
長い動画の中の組み立て
10分前後の動画なら、Pinmovでは次のような組み立てを基本にしています。
部分 | 中身 |
|---|---|
冒頭 | 見る人の損得に直結する一言と、この動画で何が分かるか |
本編の前半 | よくある間違いや、つまずく場面を、当事者の言葉で出す |
本編の後半 | 答えと、その根拠(事例・数字・経験) |
まとめ | 答えをもう一度短く言い直す |
最後の一言 | 次の行動を1つだけ案内する |
冒頭で「何が分かるか」を言っておくと、見る人は最後まで見る理由を持てます。答えを冒頭で全部言ってしまうと、そこで見終わる人が出るので、冒頭は「何が分かるか」までに留めます。
企画の決め方を、月の運用に落とし込む
手順1で集めた質問が12個あれば、週1本で3か月分(横型12本)の企画が一度に決まります。
企画をまとめて決めておくと、撮影も月1日にまとめられます。更新が止まる原因と体制の組み方は企業YouTubeが続かない理由|更新が止まる3つの原因と、止めない体制、撮影の段取りは企業YouTubeの撮影|会議室で撮る対談形式の段取りで解説しています。
また、同じ撮影素材でも、冒頭の順番や切る位置を変えるだけで数字が動くことがあります。Pinmovが編集だけを担当した事例は、企画も出演者も変えずに、数字は動かせるのかで紹介しています。
まとめ
・企業の4割が問い合わせ数を目標にしているが、撤退の理由で最も多いのは「営業成果につながらなかった」
・企画の材料は、お客さんがよく聞く質問。1本で答える質問は1つに絞る
・冒頭は、見る人の損得に直結する話か、常識を否定する事実から入る
・説明だけで組まず、その会社の人しか言えない一言を軸にする
・最後に置く行動は1つ。自社のサービスへのつなぎは最後の一言で十分
外に任せる場合の費用は、企業YouTubeの制作代行の費用相場|月額の中身と本数の決め方で公開しています。
その悩み、動画で解決できるかを初回の絵コンテで確かめられます
YouTubeで何を出せばいいか分からない、再生されても問い合わせにつながらない、企画が続かない。いま困っていることと、自社サイトやチャンネルのURLをお送りください。
その悩みに対して、誰に、何を、どの順番で見せればいいかを、1本目の無料絵コンテにしてお返しします。
制作をご依頼いただくかどうかは、絵コンテをご覧になってから決めていただけます。

三上 渉吾
Pinmov / ディレクター
地上波テレビ通販番組の制作に6年間携わる。専門は、応募や購入につなげる動画の構成。
現在はPinmovで、採用動画・広告動画・企業YouTubeの企画と構成を担当。
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